よくある質問 | 京都市山科区竹鼻バス停前のこたけ小児科

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Q1. 予防接種が何故必要なのですか?

A. 病気にかかると、重い後遺症を残したり、生命に危険が及ぶことがあります。予防のための安全で確実な方法が予防接種です。そして大切なことは個人だけの予防ではなく、伝染拡大を防ぎ、特に弱い人にうつさないためにも必要で、極めて公的な意味があります。以下ワクチンで防げる主な病気をご紹介します。

  1. ポリオ:小児麻痺を起します。日本での発症は野生株によるものはなく、生ワクチンによるものです。なお世界的にはまだ撲滅されていません。やっと安全な不活化ポリオワクチンが導入され、4種混合の中に含まれるようになりました。
  2. ロタウイルス腸炎(乳児嘔吐下痢症):約1週間続く白色下痢便が特徴で、病初期には嘔吐を伴います。下痢・嘔吐による重症脱水が最も大きな合併症ですが、ケイレン、脳炎、腸重積症、腎不全など多くの合併症が見られます。
  3. 肺炎球菌・ヒブ感染症:乳幼児で最も多く見られる細菌感染症で、肺炎や髄膜炎のような重症感染症を引き起こします。小児科医が日々最も気を使っている病気です。
  4. 結核:BCG接種しない国もありますが、我が国では乳幼児の結核性髄膜炎がBCG未接種の子どもに見られるため、施行しています。後遺症はほぼ必発です。
  5. 日本脳炎:ウイルスに感染した豚などの血を吸った蚊が人を刺すことで感染します。致死率も17%もあり、重篤な後遺症を残します。毎年発症しています。特に東南アジアに多い病気です。
  6. 水痘:かかっても比較的軽く済みますが、しないで自然感染に任せると将来帯状疱疹の原因になります。また妊娠末期に妊婦が感染すると、新生児に致命的影響が出ます。
  7. おたふく:合併症として脳炎、難聴、性腺障害、膵炎を起こすことがあります。妊婦が感染すると胎児に影響が出ます。
  8. B型肝炎:母子感染・性感染以外に保育園や運動部など体を触れ合わせる機会が多い集団生活下でも感染します。
  9. 子宮頸がん:日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、約2,800人が亡くなっています。定期接種のサーバリックス(2価)、ガーダシル(4価)に加えて、令和3年2月に有効率の高い9価のシルガード9が承認発売されました。
  10. 令和6年4月から五種混合ワクチン(四種混合とヒブ)を接種することができます。

Q2. ワクチンデビューとは?

A. 乳児期は病気にかかりやすく、同時接種により早期に免疫をつけるのが良いです。特に託児所、保育園などで集団生活をしている・兄弟が多い・仕事をしていて何度も通院できない場合には、同時接種をおすすめします。
生後2か月の誕生日から、スタートダッシュが肝心、早めに、同時接種の計画を立てる。
赤ちゃんの予防接種は種類も回数も多く、きちんと受けるのはたいへんです。とくに0歳の赤ちゃんは、6~7種類もあり、接種回数は15回以上にもなります。多くのワクチンをタイミングよく確実に受けていくにはスタートダッシュが肝心。初めてのワクチンは生後2か月の誕生日に受けられるように準備しておきましょう。4月25日生まれの赤ちゃんなら6月25日がワクチンデビューの日に決定です。

『生後2か月の誕生日』に受けたいのが、4種混合、細菌性髄膜炎予防のヒブと小児用肺炎球菌プレベナー、ロタウイルス、B型肝炎ワクチンも同時接種で受けましょう。生後5か月になればBCGを接種してください。

水痘は空気感染で伝染力が極めて強いです。園でだれか一人かかればあっという間に広がります。潜伏期も2週間弱です。働くお母さん、1歳誕生日の麻疹・風疹のMRワクチンの時に水痘、おたふくワクチンも同じ日に同時接種をしましょう。

小学校入学後に百日せきの患者さんが増えています。抗体の低下によるものです。
就学前にMRと一緒に三種混合ワクチン(任意接種)をお勧めします。また11歳になったらDTの代わりに三種混合ワクチン(任意接種)をお勧めします。

Q3. アレルギーマーチって何?

A. 乳児期は乳児湿疹の形で始まり、成長と共に食物アレルギーからアトピー性皮膚炎に変わり、さらには気管支喘息に変わっていくことをアレルギーマーチといいます。

このアレルギーマーチをできるだけ早期に予防するのが何より大切です。卵、牛乳、小麦などの食物性アレルゲンを除去し、皮膚をきれいにしておく、そしてアレルギー体質が強い場合には抗アレルギー剤を長期内服する、ダニ、ハウスダストなどの吸入性アレルゲン対策には環境整備をする、という方法があります。年齢が低いほどアトピー性皮膚炎における食物アレルギーの頻度が高い傾向にあります。従ってまずは乳児湿疹・アトピー性皮膚炎の治療と食物アレルギーの治療が優先されます。アレルギーマーチを予防しなければ50%、予防すれば10%の発症で済みます。

治療方針の基本は①原因療法:アレルゲンの検索と除去、②スキンケアー:ステロイド・保湿剤・保護剤などの外用療法など、③薬物療法:抗アレルギー剤などです。特にアトピー性皮膚炎の児の90%は乾燥肌ですので皮膚を清潔にして、保湿することが大切です。スキンケアー軟膏としては尿素製剤・へパリン類似物質製剤などの保湿剤、白色ワセリン・アズノ-ル軟膏・亜鉛化軟膏などの保護剤が使用されています。アトピー性皮膚炎の発症の要素を頭に入れておくと役に立ちます。

①アレルギー的側面:アトピー素因で喘息などのアレルギー疾患になりやすい体質=遺伝的要素、IgEを作りやすい体質。

②非アレルギー的側面:皮膚機能異常―角質バリアー障害・セラミドの減少、物理的刺激・感染・掻破・発汗、環境因子。

アレルギー的側面がなければ皮膚をきれいにしてスキンケアー軟膏を上手に使用するだけで良いのです。検査などでアレルギー体質であることがわかれば原因療法が必要です。特に多いのが卵、牛乳アレルギーです。母乳栄養でも陽性に出ることがありますので油断できません。その場合には症状が強ければ母乳を中止することも必要になることがあります。食べ物が疑わしい場合は試験的除去であれば1-2週間食べないで様子みる、あるいは食べ物で何らかの症状が出た場合1か月間食べないで様子観察して下さい。確定すれば除去しますが、いつまでどのくらい除去すればよいか、一般的には離乳期の赤ちゃんの卵アレルギーは消化吸収が発達しておらず、腸管で食物が吸収されるときのアレルギーを抑える免疫反応が十分発達していないためにおこる一時的なものです。1歳、2歳と年齢が進むにつれて食べられるようになるのがほとんどです。牛乳アレルギーについても同様です。離乳食はあせらず6か月を過ぎてから始めてもよいですし、おかゆ、野菜から始めて、小麦、乳製品、卵は後回しにするのがよいです。加工品やベビーフードは最小限にして素材を調理して作ってください。除去食の評価は6か月ごとに行います。卵など食品によっては加熱したり、回数や量を減らすことで食べられるものもあります。